杉田総領事からのメッセージ(2020年7月)
このたび在ベンガルール日本国総領事として赴任しました杉田明子と申します。私は6月21日にベンガルールに着任しましたが,その前の約3年間は,在シンガポール日本国大使館で勤務していました。シンガポールとベンガルールは,2点,通じるところがあります。
1つは,「ガーデンシティ」という呼び名です。シンガポールは「ガーデンシティ」との呼び名がありますが,ベンガルールも,同様に緑豊かな都市として,「ガーデンシティ」と呼ばれていると聞いております。もう1つは,世界における技術革新の拠点都市である点です。シンガポールは官民がイニシアティヴをとって,世界の技術革新のハブや主要な市場となる都市との間でGlobal Innovation Alliance (GIA)というネットワークを形成しており,ベンガルールもその中の一つに数えられています。
私は,約20年前には,サンフランシスコでの勤務経験がありますが,管内にはアメリカ有数のIT企業が本部を構えるシリコンバレーがあります。ベンガルールにも,IT,バイオテクノロジー,航空,エレクトロニクスなどが集積しており,「インドのシリコンバレー」と呼ばれています。
私は,インド勤務は初めてですが,今申しました理由から,ベンガルールには親近感を持っており,緑豊かな都市に身を置きながら,益々発展するこれら先端産業とともに成長するベンガルールで貴重な経験を得ることができることを楽しみにしております。
ベンガルールにあるケンペゴウダ国際空港は,就航都市を増やし,空港自体もベンガルールとともに成長するだろうと聞いております。そのような流れの中で,ベンガルールと東京との間では,日本航空による直行便就航が予定されています。この直行便就航により,日本と南インドとの往来拡大にとどまらず,東京を経由して,南インドと北米地域との往来が期待されます。これは,商工会の皆様による日本航空や州政府への働きかけの賜物であり,在留邦人や日系企業商工会の皆様のみならず,カルナータカ州の方々も大いに期待していると聞いております。また、この場をお借りして、日本航空の皆様のご尽力に心から感謝したいと思います。
ベンガルールのあるカルナータカ州と日本との関係は年を追うごとに深まっていると認識しております。まず,経済面では,日系企業拠点数は,2016年から2018年にかけ,476から529拠点に増加し,経済活動が活発になっており,この流れを受けて,ベンガルール近郊には日本工業団地ができていると聞いております。また,ダイアログ・モニタリング委員会,プロジェクト支援委員会など,商工会によるイニシアティヴの下,州政府と日本企業との対話の場が設けられており,日本企業のより一層の進出を期待するとともに,当館としてもできる限りの支援を行いたいと考えているところでございます。
文化交流の面では,JLPT(日本語能力試験)受験者が3年間で倍増しており,当館が行ってきた文化行事の参加者数も同様にこの2~3年で倍増するなど,日本語・日本文化に対する当地の関心の高まりがみられます。商工会は,11月のフードフェスをご支援いただき,2月のジャパン・ハッバは当館などと共催され,6月に初めて開催された日本語ビジネスピッチコンテストに協賛されたと伺っております。今述べたような当地における日本理解の深まりは,商工会のこのようなご貢献なくしては起こり得なかった現象だと思います。
3月以降,コロナウイルス感染が世界に急速に拡大し,インド政府も長期間に亘り全土ロックダウンという措置をとりました。日系企業の皆様にはご家族も含めてこの間大変厳しい状況が続いていると承知いたします。今後,経済は少しずつ再開する動きが見られますが,しばらくはコロナ感染拡大の防止を図りつつ,いかに経済活動を再開させていくかという難しい舵取りが続くと思われます。
このような課題もある時期ですが,在ベンガルール日本国総領事館は,初代北川総領事が築いた様々な実績を元に,これからも,在ベンガルール日本商工会議所の皆様とも連携して,カルナータカ州と日本との経済活動や文化交流を推進するとともに,在留邦人の皆様の安全増進のために,しっかりと役割を果たしてまいります。ご清聴ありがとうございました。
(了)